【完結】吸血鬼の花嫁~罪人聖女と呼ばれた私は、再会した幼馴染の彼に溶けるほど溺愛されています~
 実際にそう言われたし、まだ小さかったから純粋によく遊んでくれるお兄さん的存在だと。

 だが、再会した時には立派な男性になっていて、それでいて優しくて見目麗しくて、そして自分に愛情を向けてくれる。
 パーティーでもフィーネを守り、そして改めて愛を誓ってくれた。
 そんな彼を意識しないわけがない。

(この気持ち、伝えていいのかな……)

 そんな風に思っていた矢先、ドアが大きな音を立てて開き、リンが珍しく焦った様子で入って来る。

「フィーネ様……オズ様が……教会で火事に巻き込まれたと……」
「え……?」

 リンが王国の衛兵から語られた事実を彼女が動転しないように少しずつ話す。
 教会で神父たちを咎めていた際に火炎瓶で自殺しようとして、一時的に火事が起こったこと。
 そして──

「オズは……?! オズは無事なの?!」
「無事です。一部やけどを負った程度で、死者は神父ら含めて一人もいないと」
「よかった……」

 あらかじめ何かあった時のためにオズが教会に先に手を回して、神父とシスター見習い以外を事前に避難させていたことが功を奏した。

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