Triangle Love 3 ~ Close to you ~
Last piece
『どういうつもりだ?』
『何が?…なんて言うのは時間の無駄だね。聞いたと思うけど、僕は元々、ナナミちゃんのことが好きじゃない。』
『薄々だがその予感はあった。もうそれはいい。振るタイミングだ。なぜ今なんだ?なぜ誕生日会なんだ?俺が告白するのも知っていたはずだ。』
『その通り、知ってたよ。』
『だよな?ナナミがお前を…。ちゃんと好きなことも知っていたはずだ。狙って…。悪意を持って…やったとしか思えない。』
『…ナナミちゃんが許せなかったんだ。僕はね、全部分かっていたんだ。』
『分かってた?』
『カナメくんがナナミちゃんを好きってことも。ナナミちゃんの恋をカナメくんがサポートしてることも。』
『…。』
『酷くないかな?好きな人の好きな人への告白に、協力させられるなんて。地獄だよ。』
『…俺の為にってことか?』
『そうなるのかな?現にカナメくん。しばらく心を壊していたじゃない。知らない間に復活していたけど。』
『…そうだな。』
『ナナミちゃんにやられたんだ。僕は許せないよ。…大切な友達を傷つけられて。』
『そうか…。それなら、なぜナナミと付き合う必要があった?お前の誕生日の時点で、酷い言葉で振れば良かった。』
『ナナミちゃんには傷ついて、苦しんでほしかった。何にも知らないフリして…。本当は気づいているのに。めーちゃん、めーちゃんって言って甘えて…。苦しめて…。』
『…。』
『3人でいたい!…なんて虫の良いことを言って。おかしいでしょ?だから…。付き合って信頼を得て…。最高の状況で最低な言葉で振る。これが僕の計画。』
『…。』
『付き合ってる最中、カナメくんのことでなじるのは楽しかったよ!めーちゃんといるのは普通なのとか言ってさ!なに言ってんだよ!普通って…。普通ってなんだよ!』
『…。』
『僕達は傷ついているのに、あの子だけ傷つかないのはおかしいよ!』
『…お前の言い分は分かったよ。別にイクヤを責めたい訳じゃない。だけどさ…。ひとつだけ教えてくれ。』
『大好きなナナミちゃんを傷つけられて、もっと怒るかと思っていたよ。何かな?』
『どうして…。どうしてお前はそんなに苦しそうなんだ?なんで泣いてるんだ?苦しそうだから。泣いているから…。』
『…!』
『俺は…。イクヤを責めることなんかできない。他に理由があるんじゃないか?』
『何…言ってるの…?』
『気づいてないのか…?お前…さっきからずっと泣いてるぞ…?』
『これは…。違う…。』
『何が違うんだよ?俺にはイクヤが嘘をついてるようには見えない。別の理由があるんじゃないかって思ってる。』
『違う…!』
『…さっき、僕達は傷ついているのにって。僕達ってはっきり言ってたじゃねーか!一体、何に傷ついていたんだ…?』
『…。』
『それにナナミのこと。そこまで嫌ってはないんだろ?』
『…なんで?』
『イクヤがナナミにあげた花束。あれは確かカランコエって花だよな?ナナミの誕生花のひとつ。誕プレを悩んでる時に調べたからさ。知ってんだよ。』
『違う!花束をもらったから適当に返しただけで…。』
『あの花の花言葉ってさ。たくさんの小さな思い出…らしい。』
『…。』
『…お前が元々ナナミを好きじゃなかったのは本当かもしれない。だけど、付き合うようになって、アイツの良い所も見えてきたんじゃないか?』
『ちが…う…。』
『ナナミのくだらない話、おもしろいからな。こじ付けかもしれないけどさ。…小さな思い出が増えたんじゃないか?』
『…。』
『俺も…。俺だってイクヤが好きじゃなかったよ。ナナミの好きな奴だったから。頭も良くて料理もできて最悪の恋敵だ。嫌いになりたかったよ。』
『…。』
『でもさ…。一緒に遊んでるうちに…。優しかったり。おもしろかったり…。少しずつ好きになってたよ。俺も同じだよ…。同じなんだよっ!』
『…同じ?同じなんかじゃない!』
『え…?』
『同じじゃない…。根本が違うんだよっ!』
『どういう意味だ?言わないと…。一生分かんねーままだよ!』
『…好きなんだよ。カナメくんのことが…。ずっと…。』
『…えっ?』
『別に男の子が好きな訳じゃない!女の子が好きなはずなんだよ!お…女の子にたくさん触ったし!現にナナミちゃんともね!』
『…。』
『知ってる?いや、カナメくんは絶対に知らないか!ナナミちゃんってね、背中に大きなホクロがあるんだ!そこを押すと嫌がるんだよ!太ももにもあるんだ!あはははっ!』
『…。』
『ははっ…。は…あはは…。ううっ…。でもね…。好きになった相手が偶然…。男の人だった…。』
『イクヤ…。』
『ただそれだけのことで…。カナメくんだけが特別で…。特別で…。特別で…。気持ち悪いだろう!?』
『…。』
『…まさか僕にそんな目で見られているとは、思わなかったでしょ。驚いた?ナナミちゃんじゃなくて、ほんとはカナメくんとシたかったな!あははっ!』
『…。』
『…僕がナナミちゃんをあんな風にした理由はシンプルだよ。嫉妬。それ以外の何ものでもない。』
『そうか…。』
『僕のモノにならないなら、誰かのモノにもならないでほしいって。』
『イクヤ…。』
『このタイミングでナナミちゃんを振れば、カナメくんは告白どころじゃなくなる。告白も阻止できて、ナナミちゃんを傷つけることもできる。一石二鳥だよ。』
『…。』
『そう…。嫉妬しただけ…。逆恨みしただけだよ!僕が誰よりも知ってるよ。ナナミちゃんが良い子ってことは。』
『…。』
『だってさ…。僕は…。ずっとナナミちゃんになりたかったから!』
『はは…。なんだよ…。俺達、やっぱり同じじゃねーか。』
『…どこが?』
『俺もイクヤになりたかったんだよ。』
『…!』
『こっそり料理の練習もした。そういうことじゃないって気づいてからはやめたけどな…。おかげで今となっては、ファミレスのキッチンのエースだ!はははっ!』
『カナメくん…。』
『馬鹿だよな、俺達。憧れて…。嫉妬して…。好きじゃなくて…。なのに…。こんなにも好き同士で…。』
『…全てを曝け出せてよかったのかもしれない。やっと…。幼なじみとかそういうのじゃなくて、本当の友達になれたね…。』
『…そう…だな…。』
『だからこそ…。もう一緒にはいれないね。3人でも2人でもダメだね。』
『…。』
『すべてを知ってしまったから。純粋に楽しいだけの関係でいるのはもう…。』
『イ…クヤ…。』
『カナメくんなら分かるよね?自分の手が届かない人と…。一緒にいる…。痛み…。』
『…うっ…うううっ…。そう…だな…。』
『…もし街で見かけても、他人…だから。』
『他人…か…。』
『…ごめん。最後にふたつだけ。一生のお願い。』
『ううっ…。おいぃ…。一生のお願いがふたつもあるのかよ…!』
『ひとつはこれをナナミちゃんに渡して欲しい。今日、買って来たんだ。これで本当にお別れって気持ちを込めて。』
『分かった。これだけ渡して俺ももう…。』
『ふたつ目は…。う…動かないで…?』
『動かない?わかっ…。んっ?』
『…。』
『…!』
『ごめん。ありがとう…。ごめんね…。でも、やっと夢にみてたことが叶った。本当に…。ごめんね…。』
『な、何回も…。あ、謝んなよ。こんなことでいいなら良かったよ。一生のお願いなんてもったいないくらいだ!ははっ…。』
『カナメくん…。』
『い、一応…言っておくとさ。ファーストのやつなんだよ。はっ…ははっ…。』
『…ごめん。』
『もう謝んなよ…!これ以上謝るなら。イクヤがテクニシャンだってこと。色んな奴に言いふらしてやる。』
『…分かったよ。もう謝らない。』
『それがいい。』
『うん。』
『うん。』
『…いつか時間が経って、傷が癒えたら…。また会えるといいね…。みんなで…。』
『そうだな…。俺達は…。俺達は…。何を…間違えたんだろなぁ…!』
『何が?…なんて言うのは時間の無駄だね。聞いたと思うけど、僕は元々、ナナミちゃんのことが好きじゃない。』
『薄々だがその予感はあった。もうそれはいい。振るタイミングだ。なぜ今なんだ?なぜ誕生日会なんだ?俺が告白するのも知っていたはずだ。』
『その通り、知ってたよ。』
『だよな?ナナミがお前を…。ちゃんと好きなことも知っていたはずだ。狙って…。悪意を持って…やったとしか思えない。』
『…ナナミちゃんが許せなかったんだ。僕はね、全部分かっていたんだ。』
『分かってた?』
『カナメくんがナナミちゃんを好きってことも。ナナミちゃんの恋をカナメくんがサポートしてることも。』
『…。』
『酷くないかな?好きな人の好きな人への告白に、協力させられるなんて。地獄だよ。』
『…俺の為にってことか?』
『そうなるのかな?現にカナメくん。しばらく心を壊していたじゃない。知らない間に復活していたけど。』
『…そうだな。』
『ナナミちゃんにやられたんだ。僕は許せないよ。…大切な友達を傷つけられて。』
『そうか…。それなら、なぜナナミと付き合う必要があった?お前の誕生日の時点で、酷い言葉で振れば良かった。』
『ナナミちゃんには傷ついて、苦しんでほしかった。何にも知らないフリして…。本当は気づいているのに。めーちゃん、めーちゃんって言って甘えて…。苦しめて…。』
『…。』
『3人でいたい!…なんて虫の良いことを言って。おかしいでしょ?だから…。付き合って信頼を得て…。最高の状況で最低な言葉で振る。これが僕の計画。』
『…。』
『付き合ってる最中、カナメくんのことでなじるのは楽しかったよ!めーちゃんといるのは普通なのとか言ってさ!なに言ってんだよ!普通って…。普通ってなんだよ!』
『…。』
『僕達は傷ついているのに、あの子だけ傷つかないのはおかしいよ!』
『…お前の言い分は分かったよ。別にイクヤを責めたい訳じゃない。だけどさ…。ひとつだけ教えてくれ。』
『大好きなナナミちゃんを傷つけられて、もっと怒るかと思っていたよ。何かな?』
『どうして…。どうしてお前はそんなに苦しそうなんだ?なんで泣いてるんだ?苦しそうだから。泣いているから…。』
『…!』
『俺は…。イクヤを責めることなんかできない。他に理由があるんじゃないか?』
『何…言ってるの…?』
『気づいてないのか…?お前…さっきからずっと泣いてるぞ…?』
『これは…。違う…。』
『何が違うんだよ?俺にはイクヤが嘘をついてるようには見えない。別の理由があるんじゃないかって思ってる。』
『違う…!』
『…さっき、僕達は傷ついているのにって。僕達ってはっきり言ってたじゃねーか!一体、何に傷ついていたんだ…?』
『…。』
『それにナナミのこと。そこまで嫌ってはないんだろ?』
『…なんで?』
『イクヤがナナミにあげた花束。あれは確かカランコエって花だよな?ナナミの誕生花のひとつ。誕プレを悩んでる時に調べたからさ。知ってんだよ。』
『違う!花束をもらったから適当に返しただけで…。』
『あの花の花言葉ってさ。たくさんの小さな思い出…らしい。』
『…。』
『…お前が元々ナナミを好きじゃなかったのは本当かもしれない。だけど、付き合うようになって、アイツの良い所も見えてきたんじゃないか?』
『ちが…う…。』
『ナナミのくだらない話、おもしろいからな。こじ付けかもしれないけどさ。…小さな思い出が増えたんじゃないか?』
『…。』
『俺も…。俺だってイクヤが好きじゃなかったよ。ナナミの好きな奴だったから。頭も良くて料理もできて最悪の恋敵だ。嫌いになりたかったよ。』
『…。』
『でもさ…。一緒に遊んでるうちに…。優しかったり。おもしろかったり…。少しずつ好きになってたよ。俺も同じだよ…。同じなんだよっ!』
『…同じ?同じなんかじゃない!』
『え…?』
『同じじゃない…。根本が違うんだよっ!』
『どういう意味だ?言わないと…。一生分かんねーままだよ!』
『…好きなんだよ。カナメくんのことが…。ずっと…。』
『…えっ?』
『別に男の子が好きな訳じゃない!女の子が好きなはずなんだよ!お…女の子にたくさん触ったし!現にナナミちゃんともね!』
『…。』
『知ってる?いや、カナメくんは絶対に知らないか!ナナミちゃんってね、背中に大きなホクロがあるんだ!そこを押すと嫌がるんだよ!太ももにもあるんだ!あはははっ!』
『…。』
『ははっ…。は…あはは…。ううっ…。でもね…。好きになった相手が偶然…。男の人だった…。』
『イクヤ…。』
『ただそれだけのことで…。カナメくんだけが特別で…。特別で…。特別で…。気持ち悪いだろう!?』
『…。』
『…まさか僕にそんな目で見られているとは、思わなかったでしょ。驚いた?ナナミちゃんじゃなくて、ほんとはカナメくんとシたかったな!あははっ!』
『…。』
『…僕がナナミちゃんをあんな風にした理由はシンプルだよ。嫉妬。それ以外の何ものでもない。』
『そうか…。』
『僕のモノにならないなら、誰かのモノにもならないでほしいって。』
『イクヤ…。』
『このタイミングでナナミちゃんを振れば、カナメくんは告白どころじゃなくなる。告白も阻止できて、ナナミちゃんを傷つけることもできる。一石二鳥だよ。』
『…。』
『そう…。嫉妬しただけ…。逆恨みしただけだよ!僕が誰よりも知ってるよ。ナナミちゃんが良い子ってことは。』
『…。』
『だってさ…。僕は…。ずっとナナミちゃんになりたかったから!』
『はは…。なんだよ…。俺達、やっぱり同じじゃねーか。』
『…どこが?』
『俺もイクヤになりたかったんだよ。』
『…!』
『こっそり料理の練習もした。そういうことじゃないって気づいてからはやめたけどな…。おかげで今となっては、ファミレスのキッチンのエースだ!はははっ!』
『カナメくん…。』
『馬鹿だよな、俺達。憧れて…。嫉妬して…。好きじゃなくて…。なのに…。こんなにも好き同士で…。』
『…全てを曝け出せてよかったのかもしれない。やっと…。幼なじみとかそういうのじゃなくて、本当の友達になれたね…。』
『…そう…だな…。』
『だからこそ…。もう一緒にはいれないね。3人でも2人でもダメだね。』
『…。』
『すべてを知ってしまったから。純粋に楽しいだけの関係でいるのはもう…。』
『イ…クヤ…。』
『カナメくんなら分かるよね?自分の手が届かない人と…。一緒にいる…。痛み…。』
『…うっ…うううっ…。そう…だな…。』
『…もし街で見かけても、他人…だから。』
『他人…か…。』
『…ごめん。最後にふたつだけ。一生のお願い。』
『ううっ…。おいぃ…。一生のお願いがふたつもあるのかよ…!』
『ひとつはこれをナナミちゃんに渡して欲しい。今日、買って来たんだ。これで本当にお別れって気持ちを込めて。』
『分かった。これだけ渡して俺ももう…。』
『ふたつ目は…。う…動かないで…?』
『動かない?わかっ…。んっ?』
『…。』
『…!』
『ごめん。ありがとう…。ごめんね…。でも、やっと夢にみてたことが叶った。本当に…。ごめんね…。』
『な、何回も…。あ、謝んなよ。こんなことでいいなら良かったよ。一生のお願いなんてもったいないくらいだ!ははっ…。』
『カナメくん…。』
『い、一応…言っておくとさ。ファーストのやつなんだよ。はっ…ははっ…。』
『…ごめん。』
『もう謝んなよ…!これ以上謝るなら。イクヤがテクニシャンだってこと。色んな奴に言いふらしてやる。』
『…分かったよ。もう謝らない。』
『それがいい。』
『うん。』
『うん。』
『…いつか時間が経って、傷が癒えたら…。また会えるといいね…。みんなで…。』
『そうだな…。俺達は…。俺達は…。何を…間違えたんだろなぁ…!』