研がれる私/長編エロティックミステリー
決行④



トイレから出た私は耳を澄ました

どうやら康友は寝室に行ったようだ…

私は便器からの水の流れが止まる前に、10歩程度の距離にあった玄関のカギを開けた…

静かに…、忍び足で

ふう…、まずは初期セット完了だ

私はそそくさと寝室へ向かった


***


「ねえ…、お願いがあるんだけど…」

「なんだ…」

「音楽流して欲しいんだ。どんな曲でもいいんだけど、静寂の中以外で抱き合いたいの、今夜は」

「ふふ…、わかったよ。パソコンからでいいか?」

「ええ、お願い」

曲、何でもいいからとは言ったけど、あんまり静かなクラシックとかはちょっとねえ…

侵入者の”音消し”にならないから…


***


流れた音楽は’90のリミックスだったわ

「ああ、もうちょっと音量上げてもらっていいかな」

「今日はリクエストが多いな(苦笑)。まあ、誕生日だしな。…こんなもんでいいか?」

「うん。ありがとう…」

準備完了…!

ああ、いけね

ラインだライン…

”ハイ、オッケー”

私は心ん中で呟いた


***


二人は裸になってベッドに入った

「ルイ…」

「康友…」

ゆったりしたベッド

二人の”今夜”は今までとはどこか違ってた

激しく抱き合ってはいるが、いつもみたいに相手に自分をぶつける気持ちは潜んでいたの

二人の発する言葉も、互いの名を呼び合うだけで…






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