研がれる私/長編エロティックミステリー
猟奇の主③



その夜、寝床に入ってしばらくして…

ふと、あることを思い立った

”私…、肝心なことを見逃していたわ!”

私はベッドから飛び出し、スマホでメールを送った

送信先は明後日会うことになっている、高石トール…

そうよ、彼は今回の私のパートナー採用者なのよ

もしかしたら…

プーの魔手は、カレに及ぶ可能性だってあるよ

ここは取り急ぎ、カレの無事を確認する…


***


メール内容は以下の通りとした

”こんばんわ。あさって、予定通りでお願いしますね。ここ数日、気候の変動が激しいので体調崩じてないか心配で、確認のメールです”

何と言っても、余計な心配をかけちゃ本末転倒と考え、さりげなくあさっての確認メールを装った

これで返信が来てとりあえず異常ナシなら、明日の夜も再確認してそれでいい

あとはその翌日、プー・石渡と会った場でガッツリやってやる…


***


しかし…、あの脂肪付のプーは猟奇の持ち主だった訳だ

まあ、本人に確かめてはいないが、これまでのヤツの言動を客観的に拾い上げれば、動機は十分だし辻褄も合う

あとは他の面接者のことを、どうやって知ったかだけになる

いずれにしても会ったが最後

すべて暴いてやるって


***


高石トールからの返信が届いたのは翌日の朝だった

確か医療関係の仕事だったから、シフト勤務だったのかもだ

そして、結果はセーフ

”はい。明後日は約束の場所で待ってますんで、こちらこそよろしくです。体調はいたって絶好調。…ですので、ご安心を。ルイさんも前回同様のフル回転期を期待してます!”

まずは一安心だった


***


一方、プーにはジャブを繰り返しておいた

”明々後日、逃げるなよ!”

”ああ、行く。その日こそ俺の犬にしてやる!”

どうやら、会うのは拒んでいないようだった

コイツ…、一体何を考えてるのか…

今のところ判読不明だ

ヤツは不快極まるダサ男だが、危険をプンプン漂わせてるし刺激的ではあるから、その正体をひん剥くまでは付き合ってやるわ


***


そして…

次の日の夜、すなわち、今回の採用通知を受け取る高石トールと会う前日…

やはり念のためにシャワーを浴びて髪を乾かした後、スマホから”お確かめメール”を発信することにした

で…、寝る前にメールチェックしたが、返信はなかった

”まあ、仕事もあるし、気にすることはないだろう…”

とにもかくにも、明日は私の共演者決定を伝える…





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