研がれる私/長編エロティックミステリー
残った男⑤



今夜カレと会う

たぶん、そこで”全部”決まるだろう

おおむねのすべてが見えた上で…

それがどんな結果であろうと、少なくともこれだけは言えてる

”それは、かつて経験したことのいない、究極の刺激を味わう時間になる”

そう言うことよ


***


もはや石神康友との二度目の面談は、私にとって未知への入口だった

それは危険な扉の向こう側…

まあ、いったん踏み入れれば”こっち”には戻ってこれないだろう…

私は漠然とだが、そんな覚悟は持っていた

もっとも戻れないってのは感覚的なコト

そこがミソよ


***


私は部屋を出る前、ある意図から、デスクの引き出しに閉じ込めてあった生爪2ケを再度よく確認することにした

正直、そんなもの、まじまじと見るのは気乗りしない

当然…

だけど、ちょっと気になることがあったので…


***


私は午後7時にマンションを出た

この時間なら、8時ちょっと前には着くはずだ

黒の短めのスカート、淡いイエローのブラウスに白っぽいジャケットをはおったいでたちで、化粧も済ませた私は部屋を出た

この時の心情…

戦場へ赴くような全身が震える昂揚感と、人間ドッグに入る時のような、不安ながらも本当のことを知ることへの意を決した気分…

どうやら、私にとっての石神康友はソルジャーであり、ドクターでもあったのかも知れない…





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