研がれる私/長編エロティックミステリー
イカレたストーリー



この私は、大半のすきま女優が充足感を得るレベルで収まる訳などなかった

当然ながら…

それは私自身が良く承知していることだ


***


「よし!我ながらいい結末だったわ」

私は当該ストーリー完結後、自室のパソコン画面を前に、ニヤリと一笑を漏らしていた

その刺激的な結末は以下の通り

心底愛し合っていた恋人同士の男女二人は、ついに互いの相手を殺すことを決意し、その実行を思い描きながら、二人は燃えるように抱き合うのだった…

当然、女の方が私ということだが、何とも実物感がある

「うふふ…、この後が”実体験”できるなんて…。もうドキドキして今夜は眠れないわ」

私はときめいていた


***



私の行動は素早かった

結末を導いた日には、以降の”実演”申し込みを完了させていたのだ

希望のシュチエーションを添えて…

「この設定ならお金もさほどかからないし、却下はないと思う。ついに私は、究極の刺激を手に入れることができるのよ」

すでに、かつてないほど、私の決して大きくない胸は高鳴っていた


***


そして2日後、”すきま女優の館”から、申請受諾のメールが届いたが、却下はないと信じ込んでいたので、さほど喜びもせず、その後の流れを確認したわ

「ふむふむ…、なるほど…。そういう流れなのね」

概ね今後の進め方が理解できた私は、さっそく”オーダー”に入った


***


私の”オーダー”は、ごく端的ながら、まさにこの上なく奇抜でもあったかな

まずはストーリーだが…

恋人を殺すことを決意した女、つまり自分が演じる女になるが、その彼女が”協力者”候補の4人の男と順番に会い、その中から誰をパートナーに選ぶのか…

まあ、とりあえずこんな感じ

加えて私は、なんと”すきま女優の館”のシステムを、そのまま設定に生かすことをオーダーに入れた

すきま女優としての宮本ルイが、実際に恋人を殺す協力者の役柄となる男優候補を4人募る

そのシチュエーションで、私は殺しを厭わない男たちと出会う…


***


”そこからはもう、”素”のやり取りよ…。私の為に殺しを手伝う覚悟を持ってくれた男4人‥。ここからの私はバーチャルでないわ。ふふ‥、果たして私の期待にそぐうデンジャラスで素敵なカレが現れるかしら…”

私は心の底でニヤケ、自分自身の暗部がどくどくと蠢くのを感じずにはいられなかったわ…






< 7 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop