逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~
こいつもしかして、自分の初体験が酷くて男に復讐しているのか?
純也は何となく、彩を見ていると可哀そうに思えて来た。
「お前の生い立ちは調べさせてもらった。俺は、本業は弁護士だが今は探偵をやっているからな」
「へぇー。じゃあ、知っているのね? 私が腹違いの兄に、犯されていた事を」
「書類上でな。確かに、酷い事でお前のトラウマになっているだろうな」
「そうよ! お前はおもちゃだって、言われて毎晩犯されていたのよ! 分かる? まだ何も知らないのに、あんな気持ち悪い男に毎晩よ? 初めは泣き叫んでいて、口を押さえられていたけど。そのうち泣く事も諦めたわ! 次第に何も感じなくなったから、多くの男を求めてお金をもらったわ。数多くの男とセックスしていれば、最高のセックスを味合わせてくれる人もいるの。最高のセックスを味合わせてくれる人こそが、私を幸せにしてくれる人なの。私を幸せにしてくれない人は、いらないわ! 」
狂ったように話し出した彩に、純也は心底呆れた顔を向けため息をついた。
「バカかお前」
呆れた口調で純也が言った。
ん? と、彩は純也を睨みつけた。
「何が最高のセックスだよ! ただ気持ちよくなればいいてもじゃないだろう? セックスって」
「はぁ? セックスが気持ちよくなくて、何が嬉しいの? 」
「セックスは、愛し合うものだろう? お互いの愛を感じ合うもの。ただの快楽の為にある物じゃないじゃないか。それに、幸せはセックスがなくても得られるものだ。俺がそうだったからな」
フン! と、彩は鼻で笑った。
「セックスが無くて幸せなんて、ありえないわ! あんた、あの女と同じこと言うのね。あの女も、セックスだけが幸せじゃないって言ったわね。…だから…引き殺してやったのに…。セックスを否定する女は、いらないものね」
「引き殺したのは、俺の彼女か? 」
「そうよ。だって、私から麗人さんを奪うって思ったもの」
「ああ、その頃の俺は麗人とそっくりな容姿だったからな。だが、彼女を殺しても俺が手に入る事はないぞ」
「そうかしら? こうして今、会っているじゃない。これは運命の再会でしょう? 」
「俺が仕組んだだけで、なんでもねぇ事だ。まぁ、いい。お前がした事は、ちゃんと証拠を得ているし。お前自身が白状しているからもういい」
ジャケットのボタンを留めると、純也は鞄を手に取った。