逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~
「ちょっと待って下さい! その人は…」
「うるせぇ! テメーは黙ってろ! 」
「はぁ? てめー? 」
「おい、どうゆうつもりだ! 俺に何の恨みがあるんだ! 」
掴みかかって純也の首を絞め始めた文彦。
「ちょっと…俺は違うって…」
苦しさをこらえて何かを言いかけている純也を無視して、怒りで我を失っている文彦はどんどん純也の首を絞めて行った。
「おい、止めろって言ってんだろ! 」
ドン! と、思いきり文彦を突き飛ばした麗人。
その勢いで文彦はその場に転んだ。
「ゴホッ、ゴホッ…」
むせこんでしまった純也に麗人は駆け寄った。
「大丈夫ですか? 」
「あ、ああ…」
純也に駆け寄った麗人を見ると、文彦は拳を構えて純也に向かって殴りかかって来た。
「やめろって言ってんだろ! 」
バコッ! と、文彦の鳩尾にケリを入れた麗人。
蹴られた勢いでその場に倒れた文彦。
「お前、自分のやった事を棚に上げて人のせいにしてんじゃねぇぞこらぁ! 」
ん? と、純也は麗人を見た。
「人の命を利用して、大金手に入れようとしたって上手くいかねえんだよ! 」
なんだと? と、睨みつけて来た文彦に、麗人は怪訝そうな目を向けた。
「お前…人殺しだ…」
低いトーンで言われて、文彦はゾクっとした。
「お前なんかと誰が結婚なんかするか! お前と付き合っていたのも、気の迷いだったんだよ。可哀そうだから付き合ってやった? 笑わせんな! お前が哀れな男だから、そんな哀れな男と結婚する事で父親に恥をかかせたかっただけだ! お前になんて、これっぽっちも気持ちなんてねぇんだよ! 」
「なに? 俺を弄んだのか? 」
「人聞き悪いこと言うんじゃねよ! 何もしてねぇだろう? 付き合っているって言っても、お前とは手も握った事ねぇんだよ! そんなの付き合っているなんて,言えねぇし! 」
「なんだと? 」
鳩尾の痛みをこらえて立ち上がった文彦は、麗人を怒りの形相で睨みつけた。