逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~
「あ、お父さんに怒られてしまいますね? 」
「い、いえ…それは大丈夫だと思いますが…」
今夜一緒にって…ああなっちゃうよね…。
このままだと僕は、自分で自分にああする事になりそうなんだけど。
「僕の家にきませんか? 」
「え? 」
「僕の、本当の家に来てほしいのですが。宜しいですか? 」
「本当の家? 」
まさか、沙原家に?
いやいや、それはまずいでしょう。
だって…父さんも母さんもいるのに…。
部長の麗人はタクシーを拾った。
「どうぞ」
促されるまま麗人はタクシーに乗った。
部長の麗人は携帯電話でメールを送っているようだ。
沙原家…僕の実家でもあるんだけど、随分帰ってなかったんだけど…。
こんな形で行って良いのかな?
迷う気持ちもある麗人だったが、とりあえず部長の麗人の言う通りにした。
そのままタクシーで沙原家に向かった、部長の麗人と麗人。
沙原家は駅からタクシーで10分ほど離れた住宅地に建っている。
10年前に建て替えして、現在は洋館のようなオシャレな建て具合で、綺麗な白い外壁と茶色い囲いで囲まれている。
大きな鉄の門から玄関までは車で5分ほどかかりそうな距離。
オシャレなすりガラス模様の玄関を入ると、長い廊下が続き、和室を通りリビングとキッチンへ。
広々としたリビングには、可愛いカバーのかかったソファーと白いテーブルが置かれていて、ピアノも置いてありちょっとしたサロンのような雰囲気が漂っている。
キッチンには6人掛けの食卓と、冷蔵庫、シンクはかなっり広くコンロも綺麗にかたずいていて調理器具も綺麗に整っている。
「ただいま」
部長の麗人が入ってくると、ソファーでテレビを見ていた鷹人が振り向いた。
「おお、お帰り。今日は、遅くまで残業していたのか? 」
「うん」
鷹人は部長の麗人の後ろに隠れいてる麗人に目をやった。
「伊集院さん、ようこそわが家に」
「す、すみません。こんな夜更けにお邪魔しまして」
「いいや構わないよ、さっき伊集院さんのお父さんから電話があったよ。娘がお邪魔しますので、宜しくお願いしますってね」
「父が…すみません…」
「何回謝るんだい? 謝る事なんて、なにもないじゃないか。麗人が、こんな可愛い女の子を連れて来てくれたんだから大歓迎だよ」
リビングの奥の和室から麗香が出て来た。
「麗人おかえりなさい。伊集院さん、いらっしゃい」
夜遅くに来たと言うのに、鷹人も麗香も歓迎してくれて麗人はホッとした。