逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~
麗人は社員達が全員逃げっれるように誘導、そして優衣里もそれを手伝っている。
どんどん火が回ってくる中、鷹人と麗香はエレベーターで下へ降りて行った。
下へ降りて行く社員達がいっぱいで、麗人は屋上へ回って救助ヘリを待とうと優衣里と一緒に屋上へ向かう事にした。
消防車のサイレン音が鳴り響き、駆けつけてくる消防車をエレベーターの中から見ながら麗人と優衣里は屋上へと向かった。
炎が回って来るフロアの中。
ポツンと姿を現した彩。
「みんな焼き尽くしてやる! 」
そう言いながら、彩は片手にライターをもって歩いてきた。
営業部のドアを開けた彩は、ガランとなったオフィス内を見渡した。
煙がもくもくとまわってきて、炎がどんどん押し寄せてくる中、彩は狂ったように笑い出した。
「…みんな、いなくなっちゃったのね。…結局私の前からは、誰もいなくなるのよね…。父も私が産まれてすぐに私を捨て、母も私を愛してくれなかった。…腹違いの兄もおもちゃにするだけ…」
ライターを手に彩は麗人のデスクへと歩み寄って行った。
「…麗人さん…。貴方だけが私の支えだったの…。貴方を追いかけているときは、本当に好きって気持ちが込みあがてきて嬉しかった…。でも、本当の麗人さんじゃなかったのね? …双子だなんて…」
フーッとため息をついた彩は、ライターの火をつけそのまま放り投げた。
すると、デスクの上に置いてあった書類に燃え移り炎が上がって来た。
「もう…疲れたわ…。みーんないなくなるなら…私がいる意味なんて、ないでしょう? 誰もいないなら、セックスだってできやしないもの…」
燃え盛る炎を見ながら彩は小さく笑いを浮かべた。
その笑いは今までのような狂った笑いではなく、本当に素直に浮かんできた笑顔のようにも見える。
「最後のあの人…起たなかったけど、好きだったかも…」
そのままゆっくりとその場に崩れ落ちた彩。
再び爆破音が響いて、炎が大きくなった!
幸い、社員達は全員外へ避難して誰一人として怪我はなく軽いやけどを負った者はいたが全員無事に非難できた。
救助ヘリに無事に助けられた麗人と優衣里も、そのまま病院へと運ばれて無事だった。
消防車が駆けつけて消火に当たったが、炎の周りが激しくワンフロアは全焼してしまった。
他のオフィスの人達も全員避難して、誰一人焼け死ぬものは出なかったのが不幸中の幸いだった。