逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~
あれから沙原コンサルティングは、在宅勤務を各々に頼んでいた。
各事情により在宅勤務ができない社員もいたようで、そう言った社員には特別有休を与えた。
自社ビル建設はすすめられることになるが、完成まで半年はかかりそうで、それまでは在宅勤務で通してゆくかどこかのビルを一時的に借りるか検討している。
麗人はあれから九条家ではなく沙原家に戻って、現在は鷹人と麗香と家族水入らずで暮らしている。
在宅勤務するにあたり、別室を改造して仕事専用部屋にした麗人と鷹人。
2階の使っていない洋室があったため、そこを改造して仕事部屋にした。
今はゆっくり自宅で仕事をしながら、必要に応じて取引先へ訪問している。
優衣里とはテレビ電話で良く話しをして、会える時は会っている。
優衣里は沙原コンサルティングを辞めて、優造の仕事を手伝い始めた。
元々弁護士だった優衣里に、優造はせっかく取得した弁護士の力を役立ててほしいと願ったのだ。
秘書には辞めてもらい、当面は秘書はとらない事にした。
なかなかやめてはくれない様子だったが、強制解雇状態で辞めてもらったようだ。
近いうちに渡米していた優太も戻て来て、優造と一緒に仕事をしてくれる事になっている。
大火事に巻き込まれた沙原コンサルティングだったが、逆にゆっくりと仕事をする見直しができるチャンスになったようだ。
総合病院の個室。
一人ポツンとベッドで寝ている文彦がいる。
今はリハビリをして、一人で車いすに乗れるように待てなったが、歩く事はできないままだった。
頭を強打したせいで、視力も右目は低下していて左目のみで見ることが出来るようだ。
両親は突然、文彦とは絶縁すると言ってどこかに引っ越してしまい音信不通になってしまった。
退院しても行き場がなく、どこか療養施設にでも入所する予定だとか。
すっかり気落ちしてしまった文彦は、優衣里を騙そうとして、殺人計画まで企んでいた自分への報いだと言っているようだ。
誰も来ない病室で、窓の外を見ながら過去の自分を悔いている文彦。
コンコン。
ノックの音に誰だろう? と、ドアの方を見た文彦。