逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~
愛されていた証

 それからまた数週間経過した。

 彩は火傷も回復してきて、入院しながら取り調べを受けていた。
 担当の経緯は麗美で、ひき逃げ事件の事も含めて取り調べが行われている。

 信じられないくらい素直に応じる彩に、麗美はちょっと驚いていた。

「私、父親には産まれてすぐ捨てられました。母が良く言っていたのです。父親は、頼むからお腹の子をおろしてくれと何度も言っていたそうです。それでも、父を引きとめたくて母は絶対におろさないと意地を張っていたようですが。結局、私が産まれるのを見て父は絶対無理と言って逃げて行ったと聞いています」

 寂しそうに語る彩を見て、麗美はそっと一冊のノートを差し出した。

「これ、貴女の実のお父さんが書いていた日記の一部です」
「父の? 」
「これは、お母さんがずっと隠していたようです。焼け跡の土の中から見つかりました…お父さんの白骨遺体と一緒に…」

 茫然となり彩はノートを受け取り中を読んだ。

 ノートには男の人が書いたとは思えないくらい、綺麗な字でとても丁寧に文字が書かれていた。

(妻が妊娠した。だが、私の子供ではない。妻が浮気している事は知っている。それ故におろしてほしいと頼んだが、妻は私の子供だと言い張っていた。こんな状態で産まれて来ては、可哀そうだと私は思う。妻は、私が浮気をしていると言っているがそれは逆で妻が浮気をしているのだ。私は、両親を早くに亡くして本当の家族を知らない。だから結婚して、温かい家庭を作るのが夢だった。だが、結婚前から妻は浮気をしていたらしい。どうやら、セックス依存症のようで月のモノが来ても我慢できず相手にしないと自分で自慰していたくらいだった。何度も求められ、こっちが参るくらいでさすがに毎晩はきついものがあった)

(妊娠中だと言うのに妻は毎晩求めてくる。初期の時は避けるようにと、医師からも言われているが我慢できないと言ってくる。私も意思から注意されている故にできないと断ると、他の男の元へ走る始末。退治にないかあったあ、どうするつもりだ? )


(もうすぐ出産だと言うのに、妻は相変わらず毎晩セックスを強要してくる。お腹も大きくなり、大変だからと注意しても聞かない。逆にこっちの方が気を使い、機能するものもしなくなるくらいだ。しかし、出産時期と妊娠発覚時期から確実に私の子供ではない事は確かだ。妻には何度もおろしてほしいと願ったが、応じてくれない。このまま産まれて戸籍関係で、私の子供となっても果たして育ることが出来るか不安もある)

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