逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~
2階の南側に広がる洋間。
10畳ほどの広さに、机と椅子、本棚が置いてあり女の子らしくピンク系のカーテンが敷いてある。
部屋の片隅にはドレッサーも置いてあり、化粧品も揃っている。
これが優衣里さんの部屋なんだ。
綺麗にかたずけてあるし、優しい香りがする…。
「優衣里、私は暫く仕事をセーブしたから家にいるよ」
「そうなのですか? 」
「ああ、だから結婚するまではゆっくり話をしたいと思う」
そっか、腕利きの国際弁護士って聞いていたからほとんど家にいなかったんだ。
「あの…。教えてもらえますか? どうして、自分は朝丘さんと結婚を決めたのか。お父さんに、話した事はありましたか? 」
尋ねられる優造は驚いた目をして、少し固まっていた。
「すみません。おかしな事を言っているのは、ものすごく分かっています。でも今日、朝丘さんから聞いてしまったことがあるのです」
「彼が何か言ったのか? 」
「休憩時間でした。自分とは、いつもランチはいかないしお弁当だって作っても食べないのですが。たまたま早く戻って来た時、給湯室で朝丘さんが同僚の萩野彩さんと親しげに話していました。そして、私に保険金をかけると話していたのです」
「保険金? まだ結婚していないのに、お前に保険金をかけると言うのか? 」
「はい。勿論、結婚してからの話のようですが。受取人を自分にして、1億の保険金をかけると話していたのです。そして、受け取った1憶で萩野さんと優雅に暮らすと話していました」
信じられない顔をしている優造だが、内心は怒りが込みあがって来ているようだ。
「その話が本当なら、お前を結婚させるわけにはいかない。何か証拠はあるのか? 」
「証拠ですか? 」
「話している内容を証明できるものだ。それがなければ、言った言わないの平行線になってしまう」
証拠。
そう言えばあの時…。
半年前。
麗人はお昼を早く済ませて、たまっている仕事をする為に早めに戻って来て給湯室で珈琲をいれようとやって来た。
すると。
給湯室の中から話し声が聞こえて来て立ち止まった。