逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~
「文彦さん、どう? 優衣里。もしかして、もう抱いたの? 」
「はぁ? バカ言うなよ。あんな女、抱く気になれるわけないだろう? 」
「そうよね、お金持ちじゃなければ近づきたくないわよね。地味だし、なんか陰気臭いし。高校生の時、お母さんが病気で亡くなったらしいの。父親は稼ぎがよくても、ろくに家にいないし。どうせ、海外で女でも作っているに決まっているわ」
「へぇ。優衣理の母親ってくらいだから、似たような地味な女なのか? 」
「さぁ、詳しくは分からないけど。あんな地味な女産むくらいだから、きっとお金で政略結婚でもしたんじゃない? 」
優衣里をバカにしている文彦と彩の会話に、麗人は怒りが込みあがっていた。
麗人は優衣里の母親を見たことがあった。
入学式の時、優造と母親に連れられてやって来た初々しい優衣里がいた。
父親は厳格そうなイカツイ感じだが、柔らかな表情で優衣里と似ている感じがしたが、母親はとても綺麗なお姫様のような顔をしていた。
顔色があまりよくないようで、優造がとても気遣っている感じを受けた
2人の間にいた優衣里を見ていると、親子なんだと痛感で来た。
給湯室の中では、文彦と彩がイチャイチャしながらお互いに抱き合っていた。
「ねぇ文彦さん。いつ、優衣里に保険金をかけるの? 」
「そりゃ、結婚してからじゃないと無理だろう? 夫じゃないと、受け取れないじゃん」
「そうね、1憶だものね」
「保険金は1回払えば、下りてくるらしいぜ。だから、1回だけ保険料を納めてその後に死んでもらえるように仕組むんだ」
「いいわね、それ。1億受け取ったら、私と結婚してくれるんでしょう? 」
「ああ、お前の様に可愛い女が一番だ」
チュッと、お互いがキスする音が給湯室に響いた。
怒りが込みあがりながらも、麗人は2人の会話を録音していた。
その後、麗人が給湯室へ入ってい行くと何もなかったかのように挨拶をして喋りかけてくる文彦と彩がいた。
「部長、珈琲なら私がいれましょうか? とびっきり美味しい珈琲を入れますよ」
ぶりっ子丸出しの笑顔で喋りかけて来た彩に、麗人は怪訝な目を向けて「結構です」と言った。
そうだ、あの時…確か何かの役に立つと思って録音したんだった。