逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~

 部長の麗人は、そんな卑屈になってしまった姿なのだ。

 お金持ちの家に育った優衣里であるが、家庭の中の姿は外から見たよりも複雑だったのかもしれないと麗人は思った。
 

 優造は、麗人の話を元に部長にそれとなく話を聞いてみると言っていた。
 だが、卑屈な故に素直に話に応じるとは自分でも思えないと麗人は予測していた。


 
 夕飯が終わりお風呂に入る時間になり、お手伝いが呼びに来た。

「お嬢様、お着替えはここに置いておきます」

 用意されたバスタオルと着替えのセットを見て、麗人は「ヤバイ! 」と思った。 

 着替えは優衣里に用意されたものだから、当然女性用。
 パジャマはいいとして、下着は…。

 ちょっとドキドキしながら、麗人はパジャマの下にある下着を手に取った。

 清楚な白い下着の一式と、綺麗なレースがついている白いキャミソール。
 パジャマもピンクのシルクの上下。

「…これは、かなりヤバイかも…」

 顔を真っ赤にして麗人はちょっと動揺した目をしていた。



 とりあえずお風呂に入らないわけにはいかないから…。

 お手伝いに案内してもらい、お風呂場に向かった麗人。


 まるで温泉のように広いお風呂場には、広い浴槽とゆったりとした洗い場がある。
 浴槽は大理石でできているようで、大きな窓は外からは見えないようにミラーが貼ってあるが中からあ外が見えて夜景が綺麗に見える。

 麗人はなるべく、優衣里の体を見ないように大きなバスタオルを巻いて入って来た。

 先ずは洗髪から…って、髪長い!
 短髪にしている麗人からは、ちょっと想像できない長い髪を洗う事がぎこちなく髪の毛が絡まって苦戦しているようだ。

 先発が終わると嫌でも体を洗わなくてはならない。
 見ないようにと目をつむりながら洗っている麗人の姿が、なんとなくお笑いの一場面を見ているようで笑えるが女性の体を洗うなんてことはなかったので、どこまで洗っていいのか分からないが想像で洗うしかないようだ。
< 16 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop