逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~

「彩、今夜はできる日か? 」
「ええ、大丈夫よ。でも、ちゃんと避妊してね。まだ子供ができたら、やばいでしょう? 」
「ん? 別に構わないぜ、どうせ優衣里が死ねばお前と結婚するんだから」
「まぁ、悪い人ね」
「お前も同じだろう? まっ、優衣里には子供なんて産めないからな。あいつと、セックスする気なんてさらさらないし」
「酷いわねぇ。一度くらい抱いてあげたら? 婚約しているんだから」
「無理無理、優衣里が全裸になっても起たないって」

 キスをしながら、文彦と彩は優衣里をバカにしていた。


 部長の麗人はじっと文彦を見た。

 文彦はかなり動揺した顔になり、何か言い訳を探しているようだ。
 彩も真っ青になり目が泳いでいた。

「…文彦さん…。今の内容から察すると、私に保険金をかけて早死にさせて。受け取った保険金で、萩野さんと再婚するってことかしら? 」
「ち、違う! これは…彩が勝手に言ってるだけだ。俺は、そんな事考えていない! 」

 なんですって?
 私だけ悪者にするの?

「違うわ。朝丘さんが、保険金を奥さんにかければ大金にありつけるって言いだしたの」

 なに? 俺のせいにするのか?

 
 さっきまで目配せをしてした史彦と彩だが、今はお互いに殺伐とした視線を飛ばし合っている。

 麗人は呆れてしまった。

「朝丘さん。申し訳ないのですが、婚約は保留とさせてもらえませんか? 」
「な、なに? 」

「部長が見せてくれた動画を、全て信じるわけではないのですが。父に頼んで調べてもらおうと思います。なので、婚約は保留で。重ねて、貴方との交際も保留にしますね」

 文彦は苦虫でも噛んだような顔をしたまま、何も言えなくなった。


「さて、そろそろお開きにしましょうか」

 麗人は立ち上がりリビングの外へでた。

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