逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~
「犬も猫も大好きですよ。でも、うちはみんな忙しくてお世話ができないので飼うことができません。…大学生の時、学校の庭に迷い込んだとても可愛い子犬がいました。本当は、その子犬を飼ってあげたかったのですが無理だったのでおいて来たのです。でもそれっきり、その子犬に会う事がなかったので。もしかして、誰かに拾われたのかな? って、ずっと気になっています…」
そう言いながら、麗人が部長の麗人を見ると、メガネの奥で目が潤んでいた。
あの子犬…僕が拾って育てています。
そう言ってみてよ…。
そうmで訴えて見た麗人。
「伊集院さんが犬が好きだと知って、安心しました。もし良かったら、我が家の愛犬を見に来てくれませんか? 」
あ…誘ってくれた?
麗人はニコっと笑った。
「犬を飼っているのですか? 部長」
「はい。…捨てられていた子犬を拾って、もう7年目です」
「そうなのですか。是非伺わせて下さい」
恥ずかしそうに赤くなっていた部長の麗人が、更に赤くなって無愛想ながらも笑みを浮かべた。
そんな部長の麗人を見ると、自分で見ていても可愛いと麗人は思った。
二人が話している姿を、遠目で見ていた優造がいた。
「旦那さま。お嬢様、随分と明るくなられましたね。百里様が亡くなられてから、笑わなくなられましたので心配しておりました」
優造の傍にいたお手伝いが話しかけてきた。
「そうだな。急に結婚を決めた時も、何故あの男なのか疑問だった」
「なんだか、あの方の方がお嬢様にはお似合いですね」
部長の麗人を見てお手伝いは微笑ましい表情で言った。