逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~
反対される結婚と迫ってくる結婚
カチャッと。
ドアが開いて優造が出て来た。
「優衣里? 」
優造に声をかけられ、麗人は足をとめそっと振り向いた。
優造はとても心配そうに優衣里を見ていた。
「優衣里、もしかして喜代さんに会ったのか? 」
「あ…いえ…」
優衣里さんならきっと隠すだろうなぁ…。
「隠さなくてもいいぞ、そんな顔をしているときは何かショックを受け散る時だと私には分かる」
うん、そうだよね。
優衣里さんはきっと、ここで素直にはならないと思うけど…。
「お父さん。…私がいると邪魔なの? 」
って、優衣里さんは聞かないと思うけど…何故かこれをハッキリ聞かなくてはならないって思うから。
麗人が少し潤んだ目をして見つめていると、優造はちょっと涙ぐんだ目を浮かべた。
「邪魔だなんて、一度も思った事はない。なぜそんな事を言うのだ? 」
「仕事も忙しいし色々大変なのに。どうして、お父さんは再婚しないの? お母さんが亡くなって、10年以上でしょう? それならもう、新しい恋をしてもいいと思うのだけど」
「私は百里しか愛せないんだ。確かしに百里が亡くなってもう、10年以上過ぎている。だが、私には昨日の事のように思い出される。特にお前を見ていると百里を思い出す。ちょっとした仕草も、声も百里に似ているから」
「お母さんに似ているの? 私」
「ああ、ちょっと入りなさい」
優造に招かれて、麗人は書斎に入って行った。
シンプルな書斎はそれほど広くはなく、書斎と椅子と本棚と資料に囲まれていた。
優造は本棚からアルバムを取り出してきて、優衣里に見せて来た。
そのアルバムには優造が結婚式を行った時の写真と、2人で写した写真が貼ってあった。
結婚式で親族で写した写真は、優造と百里は和装で写っているが、2人で写した写真はウェイディングドレスとモーニング姿で写っている。
上品な肩なしドレスにヘッドドレス姿の百里は、優衣里に似ている。
まるでどこかの国のお姫様のようで、とても綺麗な百里を見ているとメガネを外した優衣里とそっくりで胸がキュンと鳴る。
でも優造を見ていると、目元がそっくりで似ている部分もある。