逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~
そろそろ寝るか。
そう思った麗人が寝室へ向かう為歩き出すと、パサッと机の上から一冊のノートが落ちて来た。
ピンク色の可愛い花柄のノートが開かれていて、何か書いていあるのが目に映った。
(思いきって仕事を辞めて、新しい職場に入社したらびっくり。あの人かな? って思ったけど。苗字が違っていたから違う人なのかな? でも、あの目はそっくりなんだけど。私の名前を聞いても、何も変わらないままだったから違う人だったのかな? それとも忘れているだけなのかな? )
(様子を見ていたけど、ぶっきらぼうで愛想もないから違う人なのかな? でも人は変わるから、大学を卒業して何かあったのかもしれない。どうしても、あの人としか思えなくて。麗人って名前も珍しかったから、彼にしか思えない。あの沙原麗人さんにしか…)
沙原麗人? 僕の名前が書いていある。
もしかして、このノートは日記?
優衣里さんが本心を綴っていた日記なら、読んではいけないよね?
でもなんで、僕を気にかけているのだろう?
読んではいけないともいつつ、麗人は先に書いてあることを読んでみた。
(お父さん、私、きっとお父さんが嫌ういい加減な人と付き合う事にしたの。結婚前提でって言われたわ。実家は自営業だって言って、お金持ちだと言うけど。私にしょっちゅうお金を借りに来るの。ご飯に行っても割り勘ばかりで、時々財布を忘れたと言って私が払う事が多くて…。本当は財布を持っていて、お金がないのか払いたくないのかどちらかと思うけど見て見ぬふりをしているわ。それだけ、最低な男と私が結婚したら…お父さんはどう思う? )
(とうとう彼からプロポーズされた。しかも、見栄を張ってタワーの最上階で花束を持って来て。指輪まで用意してくれていた。でも、彼の目はどこか怖くて曰くつきだったのを私は見逃さなかった。…でもいいの、そんな最低な男と結婚して。お父さんは、それでも私がいなくなれば次の幸せにいけるの? )
パサッ…。
麗人は読んでいた日記を落としてしまった。