逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~
お昼休みになると。
「部長、お昼一緒に行きませんか? 」
気持ち悪い笑みを浮かべて、部長の麗人に歩み寄って来た彩。
「いえ、自分はお昼持って来ているので」
「え? そうなんですか? じゃあ、一緒に食べません? 私、さっき外に出た時に買って来たのです」
言いながらコンビニの袋を見せた彩。
「すみませんがお断ります。ちょっと、一人で考えたい事がありますから」
「そんなこと言わないで下さいよ、お昼くらい考え事はやめましょうよ」
気持ち悪い笑みを浮かべながら、彩は部長の麗人の手を握って来た。
部長の麗人はすぐに彩の手を振り払った。
「すみませんが、自分は香水が苦手です。失礼します」
シレっとして、そのまま去って行った部長の麗人。
「なによ、つまんない。彩の誘いを断るなんて、あの人ゲイなのかしら? 」
去り行く麗人を見ながら、彩はそのまま一人で出て行った。
麗人は今日は外で外食する為に歩いてきた。
この辺りは美味しいお店がいっぱいあるから、どこも混雑しているんよなぁ…。
混雑していなくてゆっくりできるのは、あのカフェだけだから。
麗人はオフィス街でもちょっと古い感じのこじんまりしたカフェにやって来た。
街の片隅に、古い建て具合で立っている「喫茶店」と呼ぶ方が相応しい感じのカフェがある。
茶色い外壁に昔ながらの回転灯が回っている。