逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~
そんな事を考えながらランチを済ませて、麗人はオフィスビルへ戻って行った。
ごごからもいつも通り仕事を終えた麗人。
定時の鐘が鳴り帰り支度を麗人が始めると。
「ねぇ、優衣里。ちょっと帰りに付き合ってくれない? 」
彩がすり寄って来た。
「ごめんなさい、ちょっと用事があるので無理です」
ってか、付き合うはずないだろう? あんな企みしている奴に。
「ねぇ、朝丘さんに婚約破棄を申し出たのって本当? 」
よくそんな事を聞いてこれるものだ、自分がそう仕組んでいるくせに。
「どうでもいいじゃないですか、そんな事」
麗人は帰り支度をし終えて、そのまま歩いて行った。
「ちょっと待ってよ優衣里。あの動画の事なんだけど、それはただ相談していただけなのよ。将来を考えて、朝丘さんが保険金をかけた方がいいからって。朝丘さんの家は、保険代理店でしょう? プラントか何がいいのかって、相談していただけなの」
2人して同じような嘘をつくのか、やはり似た者同士だ。
麗人はそのまま無視をしてエレベーター前あだ歩いてきた。
「ねぇ優衣里。私達は友達でしょう? 信じてくれないの? 」
麗人は呆れてそのまま何も答えずエレベーターを待っていた。
「あら、伊集院さん。今帰り? 」
麗香がやって来た。
よかった、このまま萩野さんと2人きりでエレベーターに乗ってしまったら大変だった。
麗人はホッとした。
そのまま麗香も一緒にエレベーターに乗って、1階まで降りて行った。
「あ、そうだ。伊集院さん、この後時間あるかしら? 」
1階に到着すると麗香が言った。
「何かありましたか? 」
「ええ、仕事の事でちょっとお願いがあるの。どう? この後食事でもしながら話しできないかしら? 」
「お仕事の話でしたら、時間とりますよ」
「本当? じゃあ、行きましょう。美味しいイタリアンのお店があるの」
ニコニコと麗香が麗人の手を握って来た。
わぁ、母さんに手を握られるなんてどのくらいぶりだろう。
年取った感じはあるけど、母さんの手ってすごく安心できるんだよなぁ…。
「ちょっと、私も一緒に連れていてもらえますか? 」
後ろからやって来た彩が割って入って来た。
「私、伊集院さんに大切な話があったのですよ」
「悪いけど、仕事の話だから萩野さんは席を外してもらいたいの」
「え? どうしてですか? 私が聞いてはいけない事なのですか? 」
「これは伊集院さんと2人で話をする事ですから、萩野さんはプライベートの話しですよね? それなら、別の日にして下さいね」
「どうしてですか? 先に声をかけたのは、私の方ですよ! 」
なんだ? 子供のような事を言って…。
困らせたいのか?
麗人は呆れていた。
「とにかくごめんなさいね、今日は萩野さんは遠慮して下さいね」
麗香は麗人を連れて、さっさと歩きだした。
「私の方が先に声をかけたのに、酷い人。…いいわ、そんなことしたらどうなるのか思い知らせてやるわ」
ニヤッと笑って彩は携帯電話を取り出した。
「もしもし? …ねぇ、ちょっと今から会える? どうしても話したい事があるの。外回り、もう終わったんでしょう? 」
気持ち悪い笑みを浮かべて、去り行く麗香と麗人見ている彩はちょっと狂ったような目をしていた。