逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~
企み
外回りに出た文彦は、後から外回りに出て来た綾と合流していた。
2人で朝からホテルに入り、関係をもっていた文彦と彩。
「ねぇ、文彦さん。どのくらい、優衣里から慰謝料請求するつもりなの? 」
ベッドで裸のまま抱き合って彩が言った。
「そうだな、とりあえず今回は500万くらいだな。そして、婚約破棄で慰謝料請求して1000万はもらってやろうかな」
「伊集院家は相当な金持ちだから、そのくらいすぐに出しそうね」
「あとは、俺が今回の事で精神的におかしくなり仕事ができなくなったとか言って医者から診断書をもらって。また慰謝料請求で300万くらいもらって、一生金を出させてやろうと思っている」
「そうね、引きずっているからって理由をつければやれるわね」
しめしめといわないばかりに、文彦と彩は笑っている。
しかし…。
ホテルの外にはあの純也がいた。
ちょっと分からないようにサングラスをかけて、帽子を深く被っている純也は、文彦と彩が入って行ったホテルをじっと見ていた。
「昼間から仕事中だって言うのに、ホテルで宜しくやってんだ。すげぇ度胸しているな」
手に持っているカメラを見ながら、純也は呆れいた。
「俺に付き合ってくれって、言っておきながらこれじゃあなぁ…」
フッと小さく笑って、純也はその場を去って行った。
定時間際になり、文彦が何食わぬ顔をして帰社してきた。
文彦がデスクに座ると、彩が帰社してきた。
何もなかったかのように、いかにも外回りの仕事をして来たようにパソコンに日報を入力している文彦と彩。
「朝丘さん、AKフードさんから電話が入っていましたが。本日、外回りで訪問しているのではありませんか? 」
部長の麗人が言った。
「訪問してますよ、担当の方は不在でしたが」
ん? と、部長の麗人はちょっと目を座らせた。
「AKフードの担当者の方から電話が入っています。今日は訪問日の筈だが、一向に来られないと」
「え? 」
ちょっとギクっとなった文彦。
「朝丘さんが帰社するちょっと前に、電話が入ったのですが。16時を過ぎても、来られないから今日は休みですか? と聞かれました。AKフードさん、大切なお話があったそうです」
ギクッとした文彦の目が、泳いできたのを見た部長の麗人はピンと来たようだ。
「訪問日に担当者が不在な時は、確かにあるでしょう。AKフードさんには、自分が今から伺ってきますので本日は朝丘さんは体調不良で早退したと伝えておきます」
「は…はい…」
「重ねてですが、報告書を書いておいて下さい。本日の訪問記録によると、朝丘さんはAKフードさんに訪問している事と記録してあります。この記録と、先方からの連絡の矛盾はどうゆう事なのか。説明を加えてお願いします」
それだけ言うと部長の麗人は外出の準備をして、そのまま出て行ってしまった。
文彦はかなりヤバそうな顔をしていた。
今日は外回りのふりをして、午前中は彩とホテルで過ごし午後から適当に訪問してカフェで時間を潰していたのだ。
報告書を書くように言われたが、どう言い訳をしたらいいのか…。