逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~
どうして引き止めた? こんな事、するなんて自分でもびっくりだけど…。
ちょっとおそるおそる部長の麗人を見た麗人…。
部長の麗人は真剣な眼差して見ていた。
「伊集院さん、一緒に居て下さい。貴女に勘違いされている事が、自分にとって一番辛いのです」
「勘違い? 」
「すみません、順を追って話しますから。話が終わるまで、ここにいて下さい」
「はい…」
部長の麗人はそっと手を離した。
手を離した部長の麗人は、真っ直ぐな眼差して鷹人を見た。
「社長…。もう、自分を偽る事はやめます」
ん? と、鷹人は部長の麗人を見た。
「自分が偽っている事で、とんでもない嘘をつく社員が現れました。それは、自分だけではなく他の人まで傷つけた上に。ずっと、大切に想い続けて来た人まで深く傷つけていると思ったのです」
「なる程。それで、どうする気だい? 」
部長の麗人はスッと視線を落とすと、メガネに手をかけた。
「もう…フィルター越しに物事を見ない事にします」
そう言うと、そっとメガネを外した部長の麗人。
わぁ…メガネ外したけど…今なんかドキッとした。
これって、優衣里さんの気持ちかな?
(そう。…この表情が大好きだから…)
胸の奥から聞こえてきた声に、麗人はちょっと照れてしまった。
ほんのりと赤くなった麗人…。
メガネを外した部長の麗人は、今まで不愛想で怖いそうな目つきをしていたが、素顔になるととても優しい目をしている。
鋭そうな目つきは変わらないが、不愛想ではなくきりっとした表情で鷹人に似た感じがあるが、顔立ちは麗香とよく似ていて美形のイケメンである。
「九条麗人ではなく…沙原麗人に戻ってもいいでしょうか? 」
まっすぐな眼差しで鷹人に尋ねた部長の麗人。
「お前がそいうしたいなら、それで構わない。もう十分修業はして来たと思うからな」
「有難うございます。もし、あの約束を早めた方がいいならそうして下さい」
「その事はまだいいだろう。その前に、ちゃんとしなくてはならない事があるだろう? 」
そう言いながら鷹人は麗人(優衣里)を見た。
部長の麗人もそっと麗人(優衣里)を見つめて来た。
「伊集院さん、申し訳ございません。自分は、この会社を継ぐために社長とは全く関係ない人間として入社してちゃんと指導してもらいたくて。母の旧姓である九条をの名乗り、社長とは全くの他人のふりをしていました。社長の息子だと知れば、みなさんきっと遠慮してしまうと思ったのです」
「そうっだったのですね」
「ごめんなさい。欺くような真似をしてしまいました…許して下さい…」
そっと頭を下げた部長の麗人を見て、麗人(優衣里)は小さく笑った。