逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~
「萩野さん。いくら誘って頂いても、貴女と一緒にお昼を食べる事はありません」
「え? どうしてですか? 」
「自分は嘘をつく人は嫌いです」
「嘘? 」
「今朝もとんでもない嘘を話していましたよね? 」
「社長の息子さんと婚約した話ですか? 」
何も答えず、部長の麗人は仕事へと目を移した。
「あの話は本当ですよ。これを見て下さい」
携帯電話を取り出し、彩は写真を見せた。
見せられた写真には、彩と先日カフェで会っていた純也が2人で写っていた。
「この人、沙原麗人さん。社長と似ているでしょう? 」
部長の麗人は写真を見て驚いたが、思わず笑いそうになった。
「婚約指輪までくれたのですよ、嘘ではないです」
この写真は偽造ではないようだ。
純也は何故こんな女と一緒にいたんだろう?
「信じてもらえました? 」
「いえ、嘘である事が確信できたのでもう結構です」
釣れない人ね、あくまでも信じないなら別にいいわ。
携帯電話を閉まって彩は席に戻った。
純也を使って嘘を言い張っているのか。
だが、何をしているのだろうか? 純也は…。
お昼休みになり。
部長の麗人は純也に電話をかけた。
持ってきたお弁当を食べてから外へ出て来た部長の麗人は、日当たりの良い公園へとやって来た。
子供達が無邪気に遊んでいる姿を見ながら、純也に電話をかけて部長の麗人。
「純也、お前何をやったんだ? 萩野彩が、お前と結婚すると言って写真まで見せて来たぞ。それに婚約指輪も見せて来たのだが」
(あれ? そんな話になってるの? 俺はただ、付き合って欲しいって言われたから別にいいけどって返事をしただけだが? )
「付き合うって、お前彼女がいるだろう? 」
シーンとしばらく沈黙が続いた。
部長の麗人はどうしたものかと、純也の言葉を持った。