逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~
妊娠しました
午後からはいつも通り仕事が始まった。
彩は午後から外回りに出て行った。
しかし文彦はいつもより早く戻って来た。
何か怒りを露にしている文彦の顔を見ると、麗人は何かトラブルがあったのではないかと感じていた。
デスクに鞄を置いた文彦は、怒りを露にした表情のまま部長の麗人にツカツカと歩み寄って行った。
「部長! 俺の仕事横取りするの、やめてもらえませんか? 」
怒鳴り口調で部長の麗人に向かって言いだした文彦。
「仕事を横取りするとは、どうゆう事ですか? 」
「先日のAKフードさん。今日訪問したら、もう来なくていいと言われました! 今後は、部長さん言お願いすると言ってました! どうゆう事ですか? 」
「その事でしたら、先日朝丘さんが訪問するはずでしたが訪問しておらず、先方がお待ちになられていたので。自分が後から謝罪に行った時に、今後は部長さんが担当して下さいと言われましたので」
「はぁ? ふざけるな! 」
ドン! と、デスクを拳で殴りつけた文彦。
その音に、事務所内にいる社員達が驚いて振り向いた。
大きな音を建てられても、部長の麗人は表情一つ変えることなく冷静なまま史彦を見ていた。
「俺の担当企業にわざわざ部長が行かなくても、俺が何とかします! 勝手に担当を変えるとは、俺の仕事を横取りしたって事じゃないですか! 」
「それでは何故、あの日はAKフードさんへ行かなかったのですか? 何かいけない事情があるなら、何故報告してこなかったのですか? 」
「それは…」
文彦は言い訳を探しているようだが、うまい言い訳が見つからなかった。
仕事をさぼって憂さ晴らしで、彩とホテルにいたとは言えないだろうし…。
「朝丘さん、非常に申し上げにくいのですが。朝丘さんには、移動辞令が出ております」
「移動辞令? 」
「先日のAKフードさんからのクレームだけではなく、他の企業からも多大なクレームが出ております。それに、最近社内での暴言も増えております。女子社員に向かって、手をあげている姿も防犯カメラで確認されています」
なんだ? 優衣里の事を言っているのか?
怒りを向けた目で文彦は優衣里を見たが、仕事に集中している為気づかれなかった。
「最近の朝丘さんは業務成績もよくありませんので、このまま営業部にいてもらっては足を引っ張ると上層部で判断されたようです」
チッと、舌打ちをした文彦。