逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~
「や、やめろ! 気持ち悪い! 」
「何言ってんだ、直ぐに気持ち良くなるって」
言いながら麗人の太ももをいやらしく撫でていた文彦。
麗人はゾクゾクと背中に冷たいものを感じて身震いが走った。
「…いい加減にしろ! 」
麗人は怒鳴りつけ、文彦の襟首をつかんだ!
驚いてキョンとなった文彦は動きを止めた。
「お前…どこまでも卑猥な人間だな! 」
「ゆ…優衣里? なんなんだ? 」
「お前、この先殺人犯で捕まりたいのか? それとも、先にセクハラ行為で訴えられたいか? どっちだ! 」
「な、なにを言っているんだ? 」
「お前のせいで…死ななくてもいい人間が死ぬ事になった! お前の事は絶対に許さない! 」
いつもの優衣里とは違う様子に、文彦は真っ青になった。
「今度こんな事して見ろ! ぶっ殺すぞ! 」
ドン! と、文彦を突き飛ばして麗人はそのまま去って行った。
「…あいつ…別人のようだ…」
驚いたまま茫然と佇んでいた文彦。
だが。
その様子を見ていた部長の麗人がいた。
麗人は社長室へ行く前に、文彦に舐められた首をトイレの洗面所で洗った。
「気持ち悪い…嫌いな奴に触られると、こんなに気持ち悪いんだ」
深いため息をついた麗人は、少し落ち着いてからトイレから出て行った。
麗人が歩いてくると部長の麗人がいた。
「伊集院さん」
心配そうな顔をして声をかけて来た部長の麗人。
「部長、どうかしたのですか? 」
なんともなかったようにふるまう麗人を見た部長の麗人は、目が潤んできた。
黙ったまま歩み寄って来た部長の麗人は、そっと麗人を抱きしめて来た。
え? どうしたの?
自分で自分を抱きしめているような感じだけど…すごく安心する…。
「…僕が伊集院さんを護ります…」
「え? 」
キョンとして部長の麗人を見上げた麗人。
目と目が合うと、部長の麗人はそっと微笑みかけてくれた。
「好きです…」
それだけ言うと部長の麗人の顔が近づいて来た。