逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~

 え? 
 と、驚いている隙にそっと唇にキスをされた麗人。


 わぁ…これって自分で自キスしたのと同じ?
 でも…すごく気持ちいいんだけど…。

 キスをしながら、部長の麗人はそっと麗人の首筋を優しく指でなぞった。

 さっきとは違う。
 気持ちいいと言うより、もっと触ってほしい…。
 僕の手ってこんなに優しい手をしていたんだ、今まで自分で気づかなかった。

 首筋に触れていた手をゆっくりと下ろしてきた部長の麗人は、そっと外れているブラウスのボタンを止めた。

 ふんわりとした暖かさが伝わて来た麗人は、スッと頬に涙が伝ったのを感じた。

 これは優衣里さんが喜んでいるんだね。
 よかった…優衣里さん、これで幸せになれるよきっと…。

 勤務中で誰も通らない廊下でキスをしているなんて、ちょとスリリングな気分だが。
 ドキドキと高鳴る鼓動を感じて、麗人はやっぱり優衣里の事が心から好きなんだと改めて実感した。

 ギュッと抱きしめられると、スルっと部長の麗人が口の中に入って来たのを感じた麗人。
 
 あったかい…もっと…もっと絡んでほしい…。
 好き…愛しているって感じるから…。
 どうしよう…自分で自分の事を好きになりそうだ…。

 名残惜しそうに、ゆっくりと唇が離れると麗人は恥ずかしそうに俯いた。

 初めてキスした時って恥ずかしいけど、こんなに喜びを感じるんだ。
 優衣里さんはあいつとキスした事あったのかな?

(ありませんよ。結婚式の時だって、誓いのキスは頬に軽くしたくらいで。あの人は私に、指一本触れて来なかったわ)

 嘘? 付き合っていて、結婚を決めたのに?

(そう。だから、子供はまだ? って聞かれる度に辛くて…)

 そうだったんだ。
 そんな辛い結婚生活に耐えていたなんて…。

 キュンと胸が痛んだ麗人。

「ごめんなさい…」
 恥ずかしそうに謝る部長の麗人を見て、麗人はちょっとわざと怒った顔を見せた。
「謝るのは何故ですか? 」
「あ…いえ…。伊集院さんの返事を聞いていなかったので…」
「謝る事はありませんよ。嫌だったら、きっとここでぶん殴っていましたから」
「え? 」

 目と目が合うと2人でクスッと笑い合った。
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