逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~

 だがある日。
 伊集院家で大金が盗まれる事件が発生した。
 彩が遊びに来て帰った後、優造の書斎の金庫からお金が盗まれたのだ。
 警察で調べてもらっても指紋が出てこなかった事と、誰も目撃していなかった事から結局誰が盗んだのか迷宮入りになった。
 だがそれ以来、伊集院家に彩が招かれる事がなくなった。
 それは、お手伝いの中で彩が優造の書斎に向かって行った姿を目撃した者が多数いたからだ。
 ハッキリした証拠がない為何も言えないままだったが、盗難事件が起こった後に彩は急に羽振りが良くなりブランド品のバッグを買ったり貴金属を買ったりして、服も派手な服ばかり着ていたが新しいブランド品の服を着るようになった。
 金庫の中には500万ほど入っていて、依頼人からの着手金が保管されていたようだ。
 
 高校生で500万の大金を手に入れたら相当なものだ。

 ホステスをやっていた母親も、急にホステスを辞めたが身なりは派手なままだった。


 彩が社会人になった頃。
 派手な身なりで、男をとっかえひっかえやって来た母親が行方不明になった。
 行方不明になる前に、彩と酷く大喧嘩をしていた声を近所が聞いているが、親子喧嘩にすぎないと言われた。

 それからというもの。
 彩は家に男を連れ込んで好き勝手やるようになった。
 しかし、彩に深く関わった男性は行方不明になっている者が多くいる。
 捜索願が出されても見つからないままで、見つかった男性は精神を破壊されていしまい病院送りになっている。

 沙原コンサルティングに派遣社員としてやって来た彩だが、同僚の男性と交際を始めたがその男性は行方不明になり未だに見つかっていない。
 交際相手が行方不明になっても、彩は次から次へと男性社員に言い寄って行く。
 
 彩はいつも「私は幸せにならなくてはならない」と言っている。
 
 広い一軒家に今は一人で住んでいる彩。

 
 資料を読んだ部長の麗人は、しばらく目を閉じたまま黙っていた。


 車はそのまま九条家に向かっていた。


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