逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~
和室へ来ると、文彦は畳をひっくり返した。
畳の下は空洞になっていて、土が掘り返されているようだ。
「ったく…ここだって、直ぐに満員になっちまうんじゃねぇのか? 」
不満げ文句を言いながら、シーツにくるんだ男性をポイっと投げ捨てた文彦。
「あーあ。お前も不運だな、こんな所が墓場になるなんて」
言いながら畳を元に戻して、顔色を変える事もなく文彦はそのままリビングへ戻て行った。
彩はシャワーを済ませて部屋に着に着替えて、夕飯の支度をしていた。
夕飯と言ってもレンジでチンする物ばかりである。
今日の献立は、冷凍品のデミグラスハンバーグ。
ご飯もレンジでチンするご飯を温めている。
「終わったぞ、まったく…。この家の下には、どんだけの死体が埋まっているんだ? 」
言いながら食卓に椅子に座った文彦。
「仕方ないでしょう? みんな、私を幸せにしてくれないんだもの」
「なんだかなぁ。もしかして、俺もそのうち同じようになるとか? 」
「大丈夫よ、文彦さんは私と共犯だもの。そんなことしないわ」
「ならいいけど」
レンジで温まったハンバーグをお皿に乗せ、彩は文彦の前に置いた。
「どうそ、お腹空いたでしょう? 」
「ああ、食べる前に俺も風呂入ってくるわ」
「いいわよ、ちょうどいい湯加減になってると思うから。着替えは、いつもの場所にあるわ」
そのままお風呂場に向かた文彦。
彩はもう一つおかずをレンジで温め始めた。
彩の家の外。
街灯はあるが、夜になるととても静かで人通りも少ない。
「…あいつ、ああやって死体を隠しているのか」
門の外に現れた純也は、動画を見ていた。
彩が家に帰ってから、若い男性と性行為をしている姿。
そして行為が終わると男性の首を切って殺してしまった姿。
その後に文彦が来て、シーツに来るんだ男を和室へ運んで畳の下に放り投げた場面。
「リビングと和室付近に、カメラ取付といて正解だったな。ばっちり、証拠がとれたぜ。…萩野彩、これ以上お前の好きにはさせないからな」
彩の家の中から笑い声が聞こえて来た。
どうやら文彦と楽しそうに夕飯を食べ始めたようだ。