逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~
 
「萩野さんには、このまま契約終了してもらう事にする。お給料面は、派遣会社に対応してもらえばいいだろう」
 部長の麗人はそっと頷いた。

「社長、萩野さんは明らかに部長に言いがかりをつけていたようでしたよ」
「そうです。部長に声をかけたと思ったら、突然騒ぎ出したのは萩野さんです」

 内勤をしていた社員達が次々と証言をし始めたのを聞いて、鷹人はやはりそうかと納得していた。


 その後は落ち着きを取り戻し通常業務を続けられた。


 定時近くになり文彦が戻って来たが、とても疲れたような顔をしていた。


 間もなく定時になる頃。
 突然! 社内一斉にメールが受信された。

(私は、沙原麗人に襲われました。そして大切な赤ちゃんを流産してしまいました)
 と題して、彩が上半身下着姿の写真が添付されていた。
 そしてどこかから拾ったかのような母子手帳の写真が添付されていた。
(あまりにもショックが大きすぎて、母子手帳を見ているの辛く燃やしてしまいました。大切な命だったのに…この子は沙原麗人の子供でした。しかし、その時も無理やり襲われて妊娠した子供でした。それを隠ぺいするために社内で堂々と襲って来た沙原麗人を絶対に許せません。沙原コンサルティングに慰謝料請求をします! そして沙原麗斗を暴行罪で訴えます! )

 支離滅裂と言ってもいいほどの内容に、社員達は呆れていた。
 
 メールを見た麗人は呆れて言葉を失っていた。

「優衣里」

 文彦が声をかけてきて、麗人はん? と見上げた。

「お前、こんなことする奴を信じるのか? 同僚である彩を妊娠させて、挙句の果てには隠蔽するために襲って流産させるなんて最低な男だぞ。あの時見せた動画だって、どっかで偽造してきたものじゃねぇのか? 」

 おいおい、まさかそっちに持ってゆくためにこのことを仕組んだのか?
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