逆転結婚~目が覚めたら彼女になっていました~
「麗人も、高校生になったら好きな女ができたようで。チャラい格好してたんじゃ、その子に振り向いてもらえないって思ったんだろうな。少しずつ真面目な格好になっていって、卒業の頃には俺と同じタイプに近づいて行ったから。逆に、俺がチャラい格好して区別つけようって思ってな。身体も元気になって来たし、好き勝手やってみようって思って遊んでいたが。俺が危ない目に合わないようにって、麗人は陰で見守ってくれていた…」
フーッとタバコを吸い終わり灰皿でもみ消した純也は、急に厳しい目を彩に向けた。
「チャラそうに見えても俺、中身はくそ真面目が抜けないままなんだ。だから、好きになった女は全力で幸せにすると心に誓っていた。…お前、前職は看護助手してたろ? 」
何で知っているの? と、驚く彩を見て純也はクスッと笑った。
「お前は仕事を転々としている。それは、就職先で男につきまとい問題ばかり起こしているからだ。お前が看護助手をしていた病院に、偶然にも俺が心から愛した女性が入院していたんだ。おそらくお前は、彼女を見舞いに行った俺を見かけたのだろうと思われる。ずっと誰かに、着けられているような気がしていた。まっ、俺も職業上尾行にはすぐ気づくから巻いていたけどな。俺に巻かれたら、逆にお前は彼女を着け回し追い詰めてきたんだ」
鞄から一枚の写真を取り出した純也は、その写真を彩に見せた。
痩せこけた顔をしている綺麗系な、髪の長い女性とチャラい格好の純也が一緒に写っている写真。
その写真を見ると彩の顔色が変わった。
「この写真の女性は、俺の心から愛した人だ。そして、この起たない俺のモンが唯一反応した女性だ」
「この女が? だって、この人は麗人さんのストーカーよ? 」
「何がストーカーだ! それはお前だろう? 俺のゆく先々に現れやがって、九条家に居なかったら今頃お前に殺されていたかもしれないぜ、俺」
「あんたみたいなチャライ男、追いかけた事あった? 私」
「悪いが、俺は日頃からこチャライ格好しているわけじゃない。日頃はくそ真面目な格好しているんだ、今の麗人と同じだ」
「どうゆう事? 私とぶつかったときは、チャラい格好だったじゃない」
純也は笑い出した。