私が愛した人は…
暁さんは、私と龍を庇うように前に出た。

『きゃー!!』

「兄貴っ!!」

「組長っ!!」

下校中の生徒が叫ぶ声。

聞いたことない、龍と杉野さんの焦っている声。

なに?

何が起こったの?

目の前では、ゆっくりと膝をついた暁さん。

暁さんの前には、杉野さんに抑えられてる男。

近くには、血のついた包丁。

暁さんの服には、血が滲んでいた。

「暁さんっ…!!」

私は、暁さんに駆け寄った。

「今すぐ、救急車を頼むっ!!」

「敦也!今すぐ、学校に来い!」

龍は救急車を呼び、杉野さんは敦也さんに電話をかけていた。

「暁さん!暁さん!」

「す、ず…。だい、じょうぶ、か?」

ゆっくりと私の頬に触れるて。

私はそれを握った。

「ヒック…だい、大丈夫です!で、も…」

「俺も、だい、じょう、ぶだ」

「無理するな、兄貴!とりあえず、横になれ!!」

龍は暁さんを横にし、着ていたカッターを脱ぎ止血していた。

誰が…

誰が、こんなこと…

校舎を見ると、空雅がこっちを見ていた。

まさか…

救急車が到着し、私と龍は救急車に乗って病院に向かった。
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