秘密恋愛短編集
嘘だ。


本当はずっと英祐の近くにいたい。


離れることなんて考えたこともなかった。


だけど口からこぼれだした言葉は止まらない。


たくさんの女子生徒たちからチヤホヤされる英祐を見ての、単なる嫉妬だった。


自分でもそう理解しているのに、感情を止めることができない。


「なんだよそれ、どういう意味だよ」


真剣な顔で聞いてくる英祐に返事もせず、背を向けた。


こんなことをしたら英祐を心配にさせるだけだ。


そう理解しているのに、私は1度も振り向きもせずにあるき去ったのだった。
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