秘密恋愛短編集
このままスライムみたいにドロリと溶けて無くなってしまいたい。


それくらいのことを自分はしてしまったんだ。


しかし、いくら溶けたいと願っても溶けることはできない。


せいぜい右頬がヒヤリと冷たくて気持ちよくなってきたくらいのものだった。


もう、午後からの授業はここでさぼっちゃおうかな。


あ、ダメだ。


ここが開放されてるのって昼間だけだっけ。


頭の中でグダグダと考えている間に人の足音が近づいてきて、顔を上げた。


この教室を使いたい生徒がやってきたのかもしれない。


邪魔をしてはいけないと思い、どうにか立ち上がる。


心が重たくなると連動して体もすごく重たくなるから不思議だった。


ドアへ向かって歩き出したとき、足音の主が先にドアを開けていた。


とっさに顔を伏せる。


いきなり女子生徒の泣き顔を見ることになったら、相手が誰であれ困ってしまうだろうから。
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