秘密恋愛短編集
☆☆☆

英祐が教育実習に来て6日目の朝だった。


私はいつもよりも少し早めに家を出ることで英祐のおばちゃんに声をかけられることから逃げていた。


その間英祐がお弁当をちゃんと持って行けていたのかどうかはわからない。


自分でも逃げているだけだと理解している。


でもじゃあ、どうしろっていうの?


英祐の夢を壊したくないし、貴美子との友情も壊したくない。


それならもう、あの空き教室での出来事はなかったことにするのが一番だと思えた。


自分の気持に蓋をして、見ないふりをして生きていくんだ、


「あ、桃子もおいでよ!」


教室へ入った瞬間女子たちのグループから手招きをされた。


その中には貴美子もいて、みんなでなにか相談事をしていたようだ。


「どうしたの?」


自分の机にカバンを置いてから輪の中に入ってくと、「明日で玉垣先生の教育実習が終わるでしょ?」と、突然英祐の名前が出てきて思わず息を飲んだ。
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