秘密恋愛短編集
そっか、明日で終わるんだっけ。


長いようでほんの一瞬の一週間だった。


この一週間、本当に色々なことがあったと思う。


思い出したらまた泣きそうになってしまって、目の奥に力を込めて我慢した。


「それで、先生に感謝の意味を込めてクッキー作りをしようと思うんだよね」


「クッキー?」


英祐はそんなに甘いものが得意じゃない。


だけどそれは言えなくて、私は曖昧に頷いた。


「今日の放課後、家庭科室を借りてみんなで作るんだけど、桃子も参加するでしょう?」


貴美子からそう聞かれて私は曖昧な笑顔のまま「そうだね」と、頷いた。


「じゃあ決まり! 今日みんなで作って明日女子たちから先生に手渡すの。みんないい?」


その言葉に反論はなかった。


みんな英祐のことが大好きで、感謝していることが伺える。


私は横目でチラリと貴美子を見ると、貴美子の目にはうっすらと涙が滲んでいたのだった。
< 109 / 121 >

この作品をシェア

pagetop