秘密恋愛短編集
満面の笑みを浮かべる貴美子を見て言葉が出てこなくなってしまう。


貴美子は純粋に英祐のことが好きなんだ。


私なんかが邪魔をしちゃいけない。


たとえ明日英祐に告白する子がたくさんいたとしても。


「でもさぁ、先生は先生だしね」


「え?」


「しかも研修生。それで高校生に告白されてOKとかしてたら、私なら一瞬で嫌いになるかも」


貴美子の冗談とも取れる言葉に私はまばたきをした。


てっきり、告白のチャンスがあるのならするのだと思っていた。


「なんの目的で学校に来てたの? って感じにならない?」


「そ、そうなのかな」


そう言われればそうである気がしてくる。
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