秘密恋愛短編集
「ごめんね桃子ちゃん。今日もまた」


「わかりました」


頷いて両手でしっかりとお弁当を受け取る。


するとおばちゃんはホッとしたように息を吐き出した「よかった。最近お弁当を届けてくれないから、嫌われたのかもしれないって、あの子心配してたのよ」


「え? 英祐がですか?」


「そうよ。ここだけの話、あの子がお弁当を忘れて行くのはわざとだったから」


わざと……!?


予想外の言葉に目を丸くする。


おばちゃんはクスクスと笑って「桃子ちゃんがお弁当を届けてくれたら、毎日学校で話ができるだろって、あの子」
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