秘密恋愛短編集
☆☆☆

玉垣先生、ありがとう!


黒板にカラフルなチョークで書かれた文字。


そのまわりには折り紙で花がおられてテープで貼り付けられていた。


お別れ会の参加人数は3年C組全員と、英祐ファンの他のクラスの子が10人ほど。


C組の教室内はパンパンに人が溢れていた。


「みんな、今まで本当にありがとう! すっげー楽しい一週間だった!」


教卓の前の英祐は少し顔が赤くて、高揚しているようだった。


これだけの生徒たちが送り出してくれるのだから、感動して当然だった。


私はこれからも毎日のように英祐に会うことができるけれど、みんなに感化されて目の奥がジンッと熱くなってきてしまった。


実際に泣いている生徒たちも何人かいる。


「みんな泣くなよぉ。俺まで悲しくなるだろぉ?」


情けない声で泣き顔をしてみせる英祐に笑い声が沸き起こる。


そのときの英祐は間違いなく立派な先生に見えたのだった。
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