秘密恋愛短編集
☆☆☆

お別れ会が終わった後は手早く片付けを済ませてみんな教室からいなくなってしまった。


私は窓辺に立って誰もいないグラウンドを見つめていた。


長いようで短い一週間だった。


明日からは学校へ来ても英祐に会うことはないんだ。


そう思うとやっぱり胸の奥が締め付けられて、苦しくなった。


「なんだ、まだ残ってたのか?」


その声に振り向くと英祐が立っていた。


教室の鍵を締めに来たんだろう。


「うん。英祐が戻ってくると思って待ってた」


「そっか。これからふたりきりのお別れ会でもしてくれるのか?」


冗談っぽく言う英祐に私は小さく頷く。


そしてポケットから小さな透明袋に入ったクッキーを取り出した。
< 117 / 121 >

この作品をシェア

pagetop