秘密恋愛短編集
「乾杯!」


賢人さんの言葉を合図に大人組はアルコールを、子供組はジュースを手に乾杯する。


炭酸飲料が喉を徹瞬間一日の疲れが吹き飛んでいくようだった。


「これ、理恵も作ったんだろう?」


目の前の料理に聡が目を輝かせて聞いてくる。


「うん。ちょっとしたものだけどね」


私が作ったのはコンソメスープとか、ピーマンの肉詰めだ。


簡単にできて美味しい料理は、一通りお母さんに習ってきている。


「すごいな! きっといいお嫁さんになるよ!」


ピーマンの肉詰めを口いっぱいに頬張って言う聡にカッと顔が熱くなるのを感じた。


「本当だな。聡は理恵ちゃんと結婚すればいいんじゃないか?」


賢人さんまでそんなことを言い出して冷やかしてくる。


私がずっと聡のことを好きでいたなんて知らないくせに!


必死で赤く染まる顔を伏せる。


私の心臓はずっと早鐘をうち続けていて、このままじゃ死んでしまうんじゃないだろうかと、本気で心配になったのだった。
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