秘密恋愛短編集
☆☆☆

聡に兄妹になったと言われたとき、実は少しだけ胸が傷んだ。


聡が言っていることは正しいのだけれど胸の奥がモヤモヤとした気持ちになる。


「あ~あ、兄妹かぁ……」


家に帰り宿題を広げていても全然手につかない。


問題を見ていても頭に入ってこなくて、視線は写真の中の聡にばかり向かってしまう。


兄妹になってからも私の気持ちに変化はなかった。


むしろ、毎日顔を合わせることになって生活が聡一色になってしまったように感じられる。


このままじゃやがてなにも手につかなくなってしまうかもしれない。


そんな不安が浮かんできたときだった。

コンコンと2度ノックの音が聞こてきて、咄嗟に写真立てを裏返していた。



今家には私と聡のふたりしかいない。


聡にこの写真のことがバレたら、私の気持ちに感づかれてしまうかもしれない。


「な、なに?」


緊張してどうしても声が裏返ってしまう。


恥ずかしさを感じて頬を両手で包み込んだとき、ドアが開いて聡が入ってきた。
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