秘密恋愛短編集
☆☆☆

私が及川くんを好きになったのは高校に入学してすぐのことだった。


1年生の委員会決めでどうしてだかクラス委員長に選ばれてしまったわたしは、ひとりで重たいダンボールの荷物を両手に抱えて階段を登っていた。


1階にある職員室から、3気の1年生の教室まで持っていかないといけない。


しかしダンボールの中身はパンパンに詰まっているようで、階段を一段上がるごとに息が切れた。


「こんなの……私には……無理!!」


どうにか2階まで持って上がってきたものの、途中でへばってしまってダンボールを廊下におろした。


両腕が痛くて少し引きつっているように感じられる。


こんなに重たいダンボール、一体なにが入ってるの!?


私を苦しめているものの正体を探るためにダンボールの蓋を開けて見た。


中身を覗き込んだ瞬間、めまいを覚えた。


ダンボールの中には今日の宿題らしきプリントが山のように入っているのだ。


ひとクラス分だけではこれほど重たくならないから、きっと1年生の全クラス分が入っているんだろう。

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