秘密恋愛短編集
そう言うと聡はスッと身を寄せてきた。


急に近くなった距離に心臓がドクンッと跳ねる。


な、なに!?


体温が急上昇して顔が真っ赤になっていることが自分でもわかった。


「本気でそう思ってもいい?」


耳元で囁かれて、唇が近づく。


私は弾かれたように立ち上がっていた。


「ば、晩ごはんの準備しなきゃね!?」


声が裏返り、手足が一緒に出ながら部屋から逃げるしかなかったのだった。
< 25 / 121 >

この作品をシェア

pagetop