秘密恋愛短編集
☆☆☆

「あぁ、いいお湯だった。聡も早く入ったら?」


30分ほどでお風呂から出た私はまだテレビを見ている聡へ声をかけた。


テレビ番組はすでに変わっていて、今は動物が映し出されている。


しかし返事はない。


「聡?」


声をかけながらソファを回り込んで確認してみるとしっかり目を閉じて寝息を立てていた。


寝てる!?


聡の寝顔を見るのはもちろんこれが初めてで、つい観察してしまう。


長いまつげに整った鼻筋。


線の細い輪郭に透明感のある肌。


そのどれもに触れてみたくてうずうずしてきてしまう。


今だったら、少しだけだったらバレないかも。


そんな気持ちが湧いてきて、視線は聡の唇へと引き寄せられた。


なにもつけていないのに血色のいい唇。

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