秘密恋愛短編集
「こんなの持てるわけないじゃん!」


グッタリとその場に座り込んでため息を吐きだす。


だいたい、私ひとりでこれを運べるって考えた先生はどうなってるの!?


これはどう考えても2人や3人はいる仕事でしょ!?


力の強い男子でもないんだから!


ぶつぶつと心の中で文句を吐きだす。


どう愚痴ってみたって階段はまだ残っていて、そこから自分の教室まで更に運んでいかないと行けないのだ。


考えただけで気が遠くなってきてしまう。


このままじゃ放課後までかかっても運ぶことはできない。


私は気合を入れて立ち上がった。

そしてダンボールに両手を伸ばしたその時だった。


ダンボールがひとりでにふわりと空中へ浮いたのだ。


驚いて後ずさりをすると、ダンボールの奥に男子生徒の両足が見えた。


更に視線を上へ動かしてみると、そこには見知らぬ男子生徒が立っていたのだ。


背が高くてガッシリとした体つき。
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