秘密恋愛短編集
薄すぎず分厚すぎず、口角が少し上がっているから無表情にしていても可愛く見える。


今は眠っているからその唇は薄く開かれていて、まるで私を誘っているように思えた。


ゴクリと思わず唾を飲み込む。


聡の唇にそっと人差し指を近づけて、触れるかどうかの寸前でパッと手を引っ込めた。


心臓はバクバクと早鐘を打っていて、顔は燃えるように熱い。


指先にかすかに感じた聡の熱だけで、私の頭はパンクしてしまいそうだった。


「さ、聡起きて! お風呂開いたよ!」


大きな声で言って方を揺さぶるとようやく聡は目を開けた。


「あれ? 俺寝てたのか」


大きな伸びとあくびを同時にして、私を見て小首をかしげる。


「どうした? 顔が真っ赤だぞ?」
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