秘密恋愛短編集
☆☆☆

聡がお風呂に入っている間にどうにか自分を鎮めようともともとキレイなリビングを掃除しはじめた。


いつものように家のことをしているとだんだんと気持ちが落ち着いてくる。


でも、つい触れてしまいそうになった唇の感覚は指先にずーっと残っていた。


「ふぅ~、いい湯だった」


そんな声がして振り向くと腰にタオルを巻いただけの聡が立っていた。


せっかく落ち着いてきた私の心臓はあっという間にかき乱される。


「ちょ、ちょっとなんて格好で出てきてるの!?」


シャワーの水が髪の毛から滴り落ちてかなりセクシーだ。


お腹には無駄な肉もなく、ほどよく筋肉が浮き出ている。


そのままモデルにでもなれそうなスタイルに頭の中がぼーっとしてきてしまう。


「なんだよ、もしかして初めてか?」


聡はそう言いながら近づいてきた。


フワリと、私と同じシャンプーの香りが漂ってきてドキリとする。


「は、はじめてって……なにが?」
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