秘密恋愛短編集
そう考えてひとつだけ思い当たることがあった。


今日の昼間この部屋で勉強をしたとき、休憩するために私は一旦部屋を開けてしまった。


そのときに机の上の写真を見られていたら……?


でも、そんなこと聞けない!


思わずキュッと目を閉じたとき、キスの同意と思われたのか一気に距離が縮まった。


暖かくてやわらかな感触が唇に押し付けられる。


あ……っ!


パッと目を開けるのと唇が離れていったのはほぼ同時だった。


聡はニッと笑って「キスのときは目を閉じろよ」と、意地悪く言ったのだった。
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