秘密恋愛短編集

突き放される

窓から朝日が差し込んで鳥の鳴き声が聞こえてくる清々しい朝。


私は一睡もできないままベッドの上で目を開けていた。


聡はあの後部屋から出ていったけれど、キスをされたことが忘れられるわけがなかった。


「朝ご飯、作らないと」


ぼんやりとした頭で考えてようやくそれだけを思い出した。


どんなことがあっても朝はやってくる。


そうなると1日のルーティーンを繰り返すことが念頭に来るのはちょっとおもしろいことだった。


ベッドから出ると寝不足のせいか少し体がフラついた。


それでもどうにか部屋から出た時、キッチンから「うわっ、あちっ」と声が聞こえてきた。


今のは間違いなく聡の声だ。


なにしてるんだろう?


階段を降りてキッチンのドアを開くと、そこにはあ青いエプロンをつけた聡の姿があった。


聡は右手にお玉をもって鍋と格闘している。


「なにしてるの?」


「おぉ、おはよ。たまには俺が朝ごはん作ろうと思ってさ」


鍋の中を覗き込んでみると、ザックリと切られた野菜が入っている。
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